万年筆の回に『他にも欲しくなった理由はある』と記述しました。
それは、とある実験をしたかったからです。内容は後述します。
もともと古い道具や原始的な道具が好きな自分にとって『ペン』、
言い換えると『インクを使用し長期間継続的に紙に書き記すことが出来る道具』は
興味深いものです。今どきそんなことは当たり前な訳ですが、ペンの歴史を辿ると
なかなか面白いです。
とりあえず『木炭』や『鉛筆』は省きますね。
初期では棒の先に顔料を付着させ、擦り付けて線を描く方法です。
色々な形の棒で書く事で太さを変えたり、漆などの素手だとかぶれてしまう顔料を
使うことが出来ます。
ある程度時代を下り、ペンで文章を書く時代になると、インクを付けて書く『つけペン』が
主流になります。有名なのは『羽根ペン』ですね。
ちなみに英語『pen』の語源は「羽根」を意味するラテン語『penna』に由来します。
最も歴史の古いペンの一種という訳です。
そして、1883年に、アメリカの保険外交員が、調書にインクの染みを作ってしまい、
契約を取り逃がしたことをきっかけとして、毛細管現象を応用したペン芯を発明しました。
これが万年筆の基礎になりました。
そうなるとかなり近代まで、
『インクを使用し長期間継続的に紙に書き記すことが出来る道具』は無かった事になります。
筆にせよ、つけペンにせよ、まめに顔料に付けなくてはいけません。
さて、少し疑問が出てきました。
『羽根ペンは一回インクに付けてどれ位書けるのか』
それを検証するため、羽根ペンを作ります。
幸い、前に拾った鳶の羽根があるのでそれを使用します。
製作自体はわりと簡単で、カッターナイフ1本で作れます。
昔は羽根ペンを整形するため小型ナイフを使用していました。それを『ペンナイフ』といいます。
自分はペンのように持てる、細身で小さいナイフだからペンナイフだと思っていたので
ペンの由来から、ペンナイフの名前まで歴史が繋がっていることに驚きました。
いやー、知らない事だらけで面白いですねぇ。
◇羽根ペン (自作)
さて、検証。結果は個体差があるので参考程度です。
試験方法は1回インクをつけて直線を書き、その長さを測ります。
時代初期の棒(今回は加工前の羽根) : 約15cm
羽根ペン : 約44cm
万年筆 : 測定不能 ※当たり前ですね…いつまで書かなければならないんだろう…
おおっ!羽根ペンは棒より2倍以上の結果です。
羽根ペンの書き心地は結構癖がありますね。ペン先の作り方の良し悪しで変わりそうなので
今後の課題です。また、いろいろ試していきます。
何にせよ、万年筆の基礎を作ったアメリカの保険外交員に感謝ですね。